10年着られる、育てるTシャツ「冠衣」

10代の頃にロックカルチャーに憧れていた菊田参号の人生はこれまで革ジャンと共にあった。バンドをやっていたり、仕事もせずフラフラしていたり、デザインの修行をしていたり、様々な時間を過ごしたが、いかなる時も革ジャンを着ていた。コーディネートはいつだって「革ジャン」に「Tシャツ」。20代までは、憧れのMETALLICAのバンドTや、自身のブランドSCRIBBLE JUNKIEの派手なグラフィックTシャツを着用していた。しかし30代になるにつれ、革ジャンの中に着るTシャツに困るようになる。
いつの間にか大人の階段を登ったのか、「シンプルさ」を求めるようになってきたのだ。

「一生付き合っていける、自慢のTシャツが欲しい。」

Tシャツとは肌着だ。だからこそ着心地がよいように、やわらかくて伸びる素材で作られている。もちろんそれらを長く着ていく事もできる。しかしそれは「長く着られる」という事とイコールでない。古着という概念があるように、ボロボロになっていく事がカッコいいとする考え方だ。そうではなく、前提として長く着る事、そして革ジャンのように付き合っていくうちに味が出るような「育っていくTシャツ」というものはないものだろうか。
そんな考えのもとに生まれたのがこのSANGOUというブランドだ。生地には伝統工芸品の「織物」を使用した。いわゆる「着物」の生地だ。なぜなら、この織物こそが革やデニムのように「着るほどに味が出る」生地であるからだ。伊勢木綿の織物は着れば着るほど、洗えば洗うほどにやわらかく、そして風合いが上がるという特徴を持っている。まさに革ジャンのように「10年付き合える」生地なのだ。

しかし「織物」というものは全くTシャツには向いていない。織物故に伸びない生地だからだ。最初の試作品は、脇や背中等の人体の可動に対してテンションがかかるところから裂けてしまった。このことから、人はどのように動くのか。どうすれば着やすいのかを徹底的に検討し、試作を繰り返した。どうすればストレスなく「織物をTシャツとして着る」ことができるのか?着やすさと丈夫さを徹底的に追求していく中で、裂ける部分にストレッチ生地を配置してみたり、テンションを考慮して立体裁断を用いてみたりしたが、どうしてもうまくいかない。裂けるものは裂けてしまう。

やはり織物でTシャツというのは無理があるのかと諦め、一時は「前空きの羽織」のような仕様変更を検討し始めた時に、女性の着物の脇にある穴、これを思い出した。調べるとそれは「身八つ口」という仕様で、腕の動作を楽にするという効果があるということだった。これだ ! と思い立ち、脇の部分に身八つ口を取り入れたところ、手の動作を楽に自由にすることに成功。先人の知恵は素晴らしい。和装の伝統仕様を導入することで、ようやく「10年着られる織物Tシャツ」が完成。その名を「冠衣-KABURI-」と名付けた。「被って着れる着物」という意味を込めた名前だ。
菊田参号には以前より「着物を気軽にラフに着たい」という想いがあった。和装はやはり気軽ではない。だからこその良さがあるのはわかるのだが、普段着として簡単に着られる着物があってもいいのでは、とかねてより考えていた。この「冠衣-KABURI-」はそれを実現した「ラフな着物」に仕上がった。デニムや革ジャンと合わせられる着物なのだ。

着るほどに育ち、心地良くなっていく「冠衣-KABURI-」。10年着られる「粋」を是非とも一度その手に取っていただきたい。

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